さまざまなカラーリングの車両が走る東武鉄道。通勤電車で最も一般的なのは銀に茶色のラインが入ったタイプだが、東上線の地下鉄乗り入れ車や伊勢崎線(東武スカイツリーライン)の半蔵門線直通は銀色とオレンジ、野田線(東武アーバンパークライン)は青と黄緑のライン――など、どの路線を利用しているかによって「東武線」の色のイメージは異なるにちがいない。

そんな中、近年「北関東の色」になりつつあるのが「黄色と濃紺」だ。都心部の路線では見られないこのカラーリングをまとうのは、2018年に運行を開始した「20400型」。日光線の南栗橋(埼玉県久喜市)より北側が活躍の舞台で、宇都宮線にデビューしたのを皮切りに現在では日光線の終点、東武日光(栃木県日光市)や鬼怒川線の新藤原(同)にも乗り入れる。

都心の顔から北関東の顔に

銀色のステンレス車体に黄色と濃紺のラインを巻いたデザインや、日比谷線乗り入れの最新型と同じ柄の座席など、とくに鉄道ファンでもなければ新車と思えるこの車両。実は、以前は東武の「都心直通の顔」だった。

20400型は、もともと地下鉄日比谷線乗り入れ用として1988年に運行開始した「20000型」の改造車だ。同線の規格に合わせ、ほかの東武通勤車両よりやや小さい1両18m、3扉車の8両編成で造られ、伊勢崎線―日比谷線直通車両として長らく都心の地下を走り続けてきた。

だが、日比谷線はホームドア設置のために車両の規格を1両20m、4扉に変えることになり、東武も新たな同線直通車両として2017年に新型車両「70000型」を導入。役目を譲った20000型のうち約半数が20400型に生まれ変わり、北関東の路線で第二の人生を歩むことになった。

改造の経緯はなかなか複雑だ。それだけに、車両部車両企画課で20400型の担当総括を務め、現在は車両管理所主任の泉川友彦さんは「1両1両に思い出があります」と語る。