コロナ禍による1年の延期を経て、10月31日からイギリス・グラスゴーで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)は、会期を1日延長して、11月13日に閉幕した。

今回のCOP26では、パリ協定が採択された2015年以来の成果を挙げることができたと言っても過言ではない。すなわち、パリ協定での気温上昇に関する長期目標が事実上2度未満から1.5度に強化されたこと、そして6年越しにパリ協定の詳細なルールブック(実施指針)がすべて合意されてパリ協定が完成したこと、さらに地球温暖化の最大要因として石炭火力削減方針が初めてCOP決定に明記されたことが挙げられる。

1.5度目標に強化されたパリ協定

最大の成果はパリ協定の長期目標として、気温上昇を産業革命前と比べて1.5度に抑えると明示されたことだ。これはパリ協定という国際条約の目標を事実上強化することに世界全体が合意したということを意味する。そのために2030年には世界全体の温室効果ガス排出量を2010年比で45%削減、そして2050年頃には実質ゼロにする必要があることまでも、合意文書に書き込まれた。

もともと2015年にパリ協定が採択されたとき、科学の知見に沿って、いずれ世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにして気温上昇を2度未満にとどめるという困難な長期目標が合意されたこと自体、奇跡的に思えた。その際に温暖化の影響に脆弱な小島嶼国連合などの主張によって、1.5度にとどめることを目指すという努力目標も付け加えられたが、これはパリ協定合意に至る終盤の激しい交渉の末に追加された妥協の産物で、いわば付け足しのような存在であった。

それから6年の時を経て、その1.5度の努力目標が事実上、パリ協定の長期目標に格上げされたのだ。もちろんその背景には、世界中で洪水や猛暑・森林火災などの自然災害が猛威を振るい、人々が気候危機の脅威を共有したことや、エネルギー革命で脱炭素化の実現が現実的なテーマとして視野に入ってきたことが挙げられるだろう。これで世界はパリ協定の下で1.5度目標、すなわち2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すこととなったのである。