一方、今回紹介する新商品のヌクメルは長沼氏の企画によるものだが、また別の新会社、「ヌクメル」より発売されるスイーツ。同氏がこれまで行ってきたスイーツのビジネスに新たな展開をもたらすものでもあるという。

開発の背景や狙いについて、長沼氏と、ヌクメル社長の佐野和哉氏に聞いた。

“バディ戦略“というブランド開発手法

まず、これまで手がけてきたスイーツとの大きな違いが、他の人物とタッグを組む、名付けて“バディ戦略“というブランド開発手法である。これについて長沼氏は次のように説明する。

「26歳でBAKEを起業して以来、自分の感覚でさまざまなスイーツを企画してきました。ただこの頃痛感しているのが、市場の細分化や流行の変わりやすさ。1つの企業の限られた人材で商品を生み出し続けるのは限界があります。別の業界から新しい感覚を取り入れることで、新たな価値を生み出していけるのではと考えました」

バディ戦略での重要なポイントは、長沼氏のみならずブランド開発者も出資し、ブランドへの関与を高めることだという。また、開発初期には、長沼氏の所有する製造設備や流通経路、ブランド開発ノウハウなどを提供することで、製菓ビジネスへの新しい人材の参入を活発にする狙いがある。

今回のヌクメルにおいてバディを務める佐野氏は大手広告会社の営業マンを始めとして、事業やブランドの企画開発、制作・運用、リサーチやコンサルティングなどと幅広い経験を積んできた人物。

ヌクメルについて佐野氏がこだわったのは、ネット販売の利点を生かし、できたてのフレッシュな味を届けることだという。

「長沼さんから、『小さな頃に工場で食べていた、焼き上がったばかりの、まだ温かいチーズケーキの味が最高』と聞いたことがヒントになりました。冷凍の状態でご自宅に届け、自分で温めて再現してもらいます。お菓子の材料や配合だけでなく、容器や温め時間の設定まで、試行錯誤を繰り返して完成させました。温かいスイーツで、温かな時間を過ごしていただければと考えています」(佐野氏)

スイーツに使用した素材は、北海道産にこだわった4種類のチーズと2種類の生クリーム、そして卵。レンジで温めることにより、表面のムースはとろけたような状態になり、内側のスフレはふんわりと、底に敷かれたクッキーはザクザクとした食感に仕上がる。新鮮かつほっとするような温かさとともに、香り、味がより豊かに感じられるのも、温かいスイーツの魅力だろう。

容器に使用したのは陶器のカップ。均一に温められるという特性があるほか、スイーツにこれまでにない特別な価値を持たせられると考えたためだ。「ヌクメル」に込められた「温める」という意味合いに合わせ、容器の色合いも温かみのあるピンクベージュを選んだ。

さらに、“スイーツを食べる時間”の価値を高めるための工夫も凝らしている。