夫にしてみたら、「妻は家で休んでいるんだし」「赤ちゃんってどう扱っていいかわからない」などと腰が引け、妻は妻で「仕事をしていない私がやるのは当たり前」と考えてしまうのかもしれません。男であろうと女であろうと、未経験のことに足を踏み出すには勇気がいります。すっかり子どもの世話が板についた(ように見える)妻に代わって、不慣れな夫が引き受けるのは、ずいぶんとハードルが高いのではないでしょうか。

2020年度の民間企業に勤める男性の育児休業取得率は過去最高の12.7%を示しました。増加傾向にあるとはいえ、圧倒的に女性に偏っていることに変わりはありません。しかも、3割弱が5日未満の取得にとどまっているのが現状です(※1)。

20代、30代の既婚男性への調査(※2)によると、「育休を取得しない」と答えた割合が42.2%で最も多く、希望する人でも1週間以内と答えた人が17.1%、1カ月以上は8.4%です。1カ月以上の育休を取得しない理由として最も多いのが「職場に迷惑をかけたくないため」で42.3%、続いて「収入が減少してしまうため」が34.0%です。

まさにAさんの夫が育休取得を断念した理由と被ります。ただし、収入ダウンに関しては、育児休業給付金は非課税で社会保険料が免除になりますので、手取りでは休業前の給与とさほど変わらない可能性があります(※3)。育休取得計画を策定する際には、手取りベースでのキャッシュフローを前提にすることをお勧めします。

育休期間は両立生活のインフラ作りにあてる

育休期間中に絶対にやってはいけないことは、母子の世界で完結をして、夫を置いてきぼりにすることです。それがめぐりめぐって妻を追い込む結果になってしまいます。できれば、育休期間が明ける前に、夫と妻がそれぞれ同じくらいの期間、ひとりで家事と育児を担う経験をすることが望ましいと思います。

育休制度には、男女ともに仕事と育児を両立できるようにという意味合いがあります。お休みではなく、子育てしながら、共働き生活をスムーズに行うためのインフラ作りと、子どもとの関係性を構築する期間と位置付けてください。