2021年11月から新型車に対する「衝突被害軽減ブレーキ」の義務化が施行された。

これまでSUBARU(スバル)は、先進安全技術群である「アイサイト」を通じて、衝突被害軽減ブレーキの有用性を社会にいち早く確実に広め、交通事故の発生件数を大幅に減らし社会的損失度の低減にも貢献してきた。

今回、そのアイサイトを含む先進安全技術を長年開発してきた柴田英司氏(SUBARUの自動運転PGMゼネラルマネージャー兼ADAS開発本部部長)に単独インタビュー取材を行った。

アイサイトを実用化するうえでの課題や、2020年8月に開設されたAI開発拠点「SUBARU Lab(スバルラボ)」の役割、さらには先進安全技術とAIの関係のほか、法施行された衝突被害軽減ブレーキ義務化についても率直なところを話してもらった。

「認めていただいた、ありがたい!」

――記念すべき世界初の自動化レベル3技術搭載車が日本で販売された2021年に、日本では衝突被害軽減ブレーキの義務化がスタートしました。スバルの衝突被害軽減ブレーキ機能を含んだ先進安全技術「アイサイト」、さらにはその前身の「ADA」(Active Driving Assist)から開発に従事されてきた柴田さんにとって、この衝突被害軽減ブレーキの義務化に対しどんな想いを抱かれましたか?

柴田英司氏(以下、柴田):「認めていただいた、ありがたい!」そう感じました。ただ、認められたのはスバルだけではなく、衝突被害軽減ブレーキの実用化に向けて尽力されたすべての方々です。衝突被害軽減ブレーキがこの先の自動車(2021年11月以降の新型車が対象。継続販売車は2025年12月以降)に装着されることから、交通事故のさらなる減少が期待できます。

――事故が減れば社会的な損失度も下がりますね。そもそもスバルは衝突被害軽減ブレーキをはじめとした先進安全技術の開発には長い経験があり、1999年に発売された「レガシィ・ランカスターADA」(現レガシィ・アウトバック)が初のステレオカメラ搭載車と伺っています。今回、義務化された乗用車の衝突被害軽減ブレーキは、このADAが原点ですから自動車史としても記念すべき事柄です。

柴田:ありがとうございます。まさしくADAが最も初期のモデルであり、1980年代後半から実用化に向けて着手していました。当時からスバルはステレオカメラ(2つの光学式カメラ)にこだわり開発を進めてきましたが、「ステレオカメラの機能限界は低いのではないか」との市場評価もありました。