1年前、アメリカ国民が選んだのは、トランプではなくバイデンだった。バイデン政権が誕生し、約1年。はたして、アメリカの選択は正しかったのか。そして、2022年の中間選挙では波乱はあるか。本稿では、人気経済評論家・渡邉哲也氏の新著『世界と日本経済大予測2022-23』より、中間選挙に向けたトランプとバイデンの思惑について解説する。

バイデン政権の命運を左右する「中間選挙」

はやくも2022年には、次の中間選挙(4年に一度のアメリカ上下両院議員選挙)が行われる。ここで大敗すればバイデン政権は一気にレイムダックとなってしまうだろう。

アメリカの中間選挙は、下院が総入れ替えになる(上院は3分の1が入れ替わる)。まず、下院で過半数を維持できなければ、議会がねじれ構造になり法案が通りにくくなる。

重要なのは、上院のゆくえだ。現時点で上院はかろうじて民主党に有利ではある。だが、上院ではフィリバスター(議事妨害)制度といって、少数党が法案を通さない戦法を取ることができるため、それを防ぐためには定員100のうち60を占めなければならない(60票あれば、相手のフィリバスターをやめさせることができる)。

政権与党にとって上院の60議席は自分たちの出した法案をすべて可決できる「絶対安定多数」のようなもの。「上院は法律においての優越、下院は予算においての優越」というのがアメリカの議会構造であるから、2022年の中間選挙で民主党が議席を維持できているのかが、バイデン政権の残り2年の最大の焦点となる。

もし中間選挙で負けると、法案がほとんど通らず必要な政策を打てない、あるいは「質の低い政策」を講ずるしかなくなる。事実上2年でバイデン政権は終わるに等しい。

一方の共和党陣営はどうか。

かつての共和党は、「グローバルイースト」と言われるグローバル勢力が中心になっていた。その代表例は、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグだ。彼はもともと民主党員だったが、2001年のアメリカ同時多発テロ直後の市長選に合わせて共和党に移籍。選挙に勝って市長になり、その後2007年に共和党を離党し、現在は民主党に戻っている。

節操がないようにも思えるが、日本と違ってアメリカでは共和党・民主党のどちらに所属しても実務能力が乏しければ相手にされない。どちらからも候補者として認められないからだ。ブルームバーグはどちらからも認められた「できるヤツ」ということになる。プロ野球でいうところの、セ・リーグとパ・リーグの両リーグで活躍する一流選手のようなものだ。