朝鮮戦争の終わりを世界に告げるための「終戦宣言」を実現しようと、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領がアメリカや中国に必死に働きかけている。北朝鮮が依然として核兵器やミサイル開発を進めている今、なぜ終戦宣言なのか、疑問は尽きない。

朝鮮戦争はとっくに終わったと思われているが、法律的には休戦状態のままで、韓国ではいまもアメリカ軍を中心とする国連軍が活動を続けている。休戦協定は国連軍を代表するアメリカ軍と中国、北朝鮮の軍幹部が署名して1953年に発効した。そこには発効から3カ月以内に戦争終結のための政治会談を行うと書かれているが、今に至るも一度も開かれていない。

アメリカや中国に積極的に働きかけ

韓国の歴代政権にとって朝鮮戦争を終わらせることは自国の安全のためにも最も重要な懸案である。しかし、文大統領ほど積極的に動いた政権はない。文大統領は就任直後から終戦宣言の実現を訴えていたが、特に今年9月の国連総会で「朝鮮戦争の当事者が集まって宣言を実現すれば、非核化の不可逆的な進展とともに完全な平和が始まる」などと述べて以降、アメリカや中国に積極的に働きかけている。

12月に豪州を訪問したときには、モリソン首相との共同会見の場で「私はアメリカ、中国、北朝鮮と韓国が原則的に終戦宣言に合意したと信じている」と発言して関係者を驚かせた。大統領が突然、「合意した」と述べたのであるから普通であれば大騒ぎする話だ。ところがこの発言は韓国内でもほとんど報道されることはなかった。おそらく韓国メディアは文大統領の発言を願望にすぎないと判断したのであろう。