コロナ禍の拡大により、恒例だった年越しの「終夜運転」がない元日から始まった2021年。前年に引き続き利用者数は低迷し、電車内での傷害事件が相次ぐなど、鉄道業界にさまざまな困難や課題が突きつけられた1年だった。また、2階建て新幹線やドア数の多い多扉車両が姿を消すなど、時代の移り変わりを感じさせる出来事もあった。2021年の鉄道を振り返る。

ダイヤ改正で終電繰り上げ

2021年は終夜運転の中止だけでなく、新型コロナが日常の鉄道運行に直接的な影響を及ぼす中で明けた。都営地下鉄大江戸線は運転士の間で感染が急速に広まり、通常運行に必要な要員が確保できなくなったため前年12月末から列車の本数を削減。1月上旬には通常運行に回復したものの、コロナ感染拡大の影響が減便という目に見える形で現れた。

JR各社をはじめ多くの鉄道が3月に実施したダイヤ改正では、大半の会社が終電の時刻を繰り上げた。夜間の保線作業などの時間確保を目的に以前から検討していたケースが多いものの、実施に至ったのは深夜帯の利用者数が減ったことが大きい。首都圏の鉄道各社は国や自治体の要請で、ダイヤ改正より前の1月中旬から終電を繰り上げたが、急きょの実施で従来のダイヤのまま対応せざるをえず、本来は終電として運行する列車を運休し、回送として走らせる事態も起きた。

JR上場4社、大手私鉄15社の2020年度決算は全社が最終赤字に転落。2021年度に入ってからも緊急事態宣言などの影響による外出自粛が続き、利用者数の回復は低調な状況が続いた。2022年度は黒字回復を見込む会社も多いが、その主要因は不動産をはじめ非鉄道業の下支えによるものだ。10月で緊急事態宣言が解除されたことにより利用者数は上向きつつあるが、新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株の感染が世界に広がり、先行きは見通せない中で年末を迎えた。