中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)は12月24日、ドイツ自動車大手のダイムラーとの合弁で2010年に設立したEV専業メーカー「騰勢新能源汽車(デンザ)」の発行済み株式の40%を、ダイムラーから買い取ると発表した。取引完了後の出資比率はBYDが90%、ダイムラーが10%となる。株式の譲渡価格は公表していない。

BYDは財新記者の取材に対して、「出資比率の変更は所管当局の認可を得る必要があり、2022年半ばに完了する予定だ」とコメントした。BYDは今後、デンザに対してより強力な経営支援を行い、ダイムラーも株主としてサポートを継続するとしている。

デンザは(高級乗用車のメルセデスベンツを擁する)ダイムラーとBYDが手を組んで立ち上げた高級EVブランドとして、設立当初は市場の大きな期待と注目を集めた。だが、現実には鳴かず飛ばずだった。2014年に初代モデルを発売した後、中国市場に4車種を投入したが、これまでに3車種の販売を終了。調査会社のデータによれば、2014年から2020年までの累計販売台数はわずか1万8300台にすぎない。

赤字続きで6回も増資

当然ながら経営も赤字が続いた。2017年以降、BYDとダイムラーはデンザの増資を6回も引き受け、総投資額は70億元(約1257億円)を超えた。

ダイムラーは2019年7月、デンザのセールス、マーケティング業務の一部をダイムラーの中国法人に統合すると発表し、販売のテコ入れを図った。しかし効果は限定的だった。デンザの2021年1〜11月の販売台数は4268台と前年同期比15.5%増加したものの、同じ期間に中国の「新エネルギー車」市場が前年同期の2.7倍に急拡大したのとは比較にならない。

(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)

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デンザが設立された10年余り前、ダイムラーはEVのラインアップや要素技術が不足していた。一方、(電池メーカーが源流の)BYDは自社のクルマの生産技術や品質を高めたいと考えていた。このため両社は、双方の協力を通じて相互補完が成り立つと宣伝していた。しかし実際には、両社は当初からデンザに十分な経営資源を投入していなかったもようだ。

(財新記者:黄栄)
※原文の配信は2021年12月25日

著者:財新 Biz&Tech