コロナ禍で華やかな話題に乏しい鉄道界。だが、今年2022年は東海道新幹線の「のぞみ」運転開始から30年、昨年2021年はフランスのTGV営業運行40周年、ドイツのICEも30周年と、高速鉄道の歴史にとって節目となる年が続く。

高速鉄道の元祖である日本の新幹線0系は最高時速210kmで運行を開始したが、以前は「レール上の最高速度は時速250kmが限界、次世代は浮上式鉄道(リニア)に委ねる」という風潮があった。その後、技術の進歩で時速300km以上の営業運行も可能との見方が強まり、さまざまな試験を経て現在は東北新幹線の一部区間で時速320km運転が行われている。フランスも時速320km、ドイツなども300km運転を実施している。

筆者はこれらの列車の試験や営業運転の開始、そしてその後の展開などを取材・撮影してきた。そこで、今回はドイツのICE開発途中に筆者が体験した「秘話」や開発技術者との交流など初公開のエピソードも交え、超高速鉄道への挑戦について振り返ってみたい。

時速300km超えへの挑戦

日本では新幹線のスピード向上は国鉄時代の一時期停滞し、1981年にフランスのTGVが開業すると世界最高速列車の座を譲った。だがJR発足後は時速300km以上への挑戦が本格化し、JR東日本の「STAR21」952・953形(1992〜1998年)、JR西日本の「WIN350」こと500系900番台(1992〜1996年)、JR東海の「300X」955形(1995〜2002年)の「新幹線試験車3名車トリオ」がそれぞれ速度試験に挑んだ。現在、日本の新幹線を走っている新幹線車両はこれら3列車と、2005〜2009年に試験走行した「FASTECH360」E954形が基本といっていいだろう。

一方、TGVはガスタービン式の試作車TGV 001(Train à Grande Vitesse 001)が1972年に登場し、時速318kmの速度記録を樹立した。だが、石油危機の影響で燃料消費の多いガスタービン式は採用を見送り、電力による運行に方針を変更。1981年9月のパリ―リヨン間高速新線(LGV南東線)開業時には、電気機関車に客車をはさんだ形のTGV-PSEが営業最高時速260kmで運行を開始した。