岸田文雄首相とアメリカのバイデン大統領は2022年1月21日、オンライン首脳会談を行った。日米両国は2022年1月7日の外務・防衛担当閣僚協議「2プラス2」で、台湾有事の初期段階にアメリカ海兵隊が自衛隊とともに南西諸島を「機動基地」に、中国艦船の航行を阻止する「共同作戦計画」の推進にゴーサインを出したばかり。閣僚人事などをめぐって安倍晋三元首相との「溝」がささやかれる岸田氏だが、日米同盟を「対中同盟」に変質させ、中国を軍事抑止しようとする安倍路線を継承・加速する姿勢を鮮明にした。「核廃絶」をうたってハト派色を見せようとするイメージ作戦の陰から対中タカ派の素顔がちらつく。

半分は中国情勢に費やす

日米首脳会談は、岸田氏が第2次政権スタート以来、訪米による実現を強く希望していた。しかしバイデン大統領が、コロナ予算をめぐる民主党議員の離反など内政問題に忙殺されて実現せずオンライン会談となった。

外務省の記者発表によると、1時間20分の会談では①「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日米豪印(クアッド)首脳会合を今年(2022年)に開きバイデン氏も出席、②経済安全保障について緊密な連携を確認し、閣僚レベルの日米経済政策協議委員会(経済版「2プラス2」)の立ち上げで合意した。

首相側近によると、会談の半分は中国政策に費やされたという。そこで、対中政策で何が合意されたのかを整理する。外務省によると、両首脳は①東シナ海や南シナ海における一方的な現状変更の試みや経済的威圧に反対、②台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す、③香港情勢や新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念を共有、で一致した。

この3点は、2021年4月の菅義偉前首相とバイデン大統領の首脳会談の内容を「上書き」する内容であり、新味はないが、岸田氏が対中政策で安倍路線を「継承」した根拠でもある。一方、安倍路線の「加速」の根拠を挙げる。