退職者1人によって定着率100%に届かなかったのは、99位のブラザー工業(定着率98.7%)、100位のSCREENホールディングス(98.5%)、101位の任天堂(98.3%)の3社。

ブラザー工業は、若手社員を海外グループ会社へ派遣して研修を行うトレーニー制度を導入するほか、育児や介護との両立などについては定期的な社内情報交換会等を開催している。

また、SCREENホールディングスは、一斉退社日や勤務間インターバル制度を導入し、2023年3月期までに年間総実労働時間を1800時間に削減する、という数値目標の達成に取り組んでいる。

海外拠点が多い任天堂は、婚姻関係に当たる同性パートナーがいる社員について、実際の婚姻と同等に扱うパートナーシップ制度を導入するなど、ダイバーシティー関連の取り組みを進めている。

以下、102位には定着率98.1%で、住友商事(入社人数162人)、浜松ホトニクス(106人)、KOA(53人)、カゴメ(52人)が続いた。

最後に、本ランキング掲載企業を入社人数が多かった順にみると、トヨタ自動車(1924人、222位)、三菱電機(1112人、286位)、デンソー(987人、195位)、ホンダ(784人、236位)、第一生命ホールディングス(778人、227位)、東海旅客鉄道(772人、236位)となった。

このうち入社人数が最多だったトヨタ自動車は、独自の「トヨタ生産方式」を業務にも応用して効率化に取り組む。休暇に関しても、2020年度の有給休暇取得率は87.9%と高水準だ。また、社会貢献活動にも積極的で、2020年度の社会貢献支出額は187億円と国内トップクラス。ポイント制度を組み合わせたボランティア活動「恩返し活動」も実施している。

こうした、マルチステークホルダーを重視する姿勢が、新入社員を惹きつける1つの要因になっているかもしれない。

今年は新卒3年後定着率が前年を上回った

『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』によると、新卒3年後定着率は年々低下傾向にあった。しかし、今年は平均81.3%で前年80.6%を上回った。テレワークが増えて出社のストレスが減った、対面での転職活動が難しくなったなど、コロナ禍による社会変化が新卒社員の定着率にも影響を与えていると考えられる。

また、近年は日立製作所、富士通、KDDIなどジョブ型の人事制度を導入する企業が増えている。「人生100年時代」といわれ、以前よりも転職は一般化してきているかもしれない。

しかし、社会経験の少ない新卒入社者にとって、そうした流れはファーストキャリアの重要性が高まることにつながるだろう。定着率が高い企業は、若手の育成にしっかり取り組んでおり、待遇面でも良好な企業が多い。引き続き、定着率は就活・転職時の重要な指標といえるだろう。