フランスは長らく経済凋落と競争力低下に見舞われてきたが、マクロン大統領の就任後の経済パフォーマンスは決して悪くない。悪くないどころか、実は歴代大統領の中でも非常によいパフォーマンスを挙げている。

就任当時9%を超えていたフランスの失業率は、新型コロナウイルスの感染拡大による都市封鎖(ロックダウン)の影響でいったん急上昇したが、一時休業制度の積極活用もあり、その後は速やかに回復軌道に復帰し、今年2月には7.4%まで低下した(図表2)。

フランス経済はコロナ禍の経済的な打撃からの回復も早く、他のユーロ圏諸国に先んじて、昨年7〜9月期にコロナ危機前の国内総生産(GDP)の水準を回復した。資源価格高騰による国民生活の打撃を軽減するため、ガス料金の値上げ凍結や低所得者向けの給付金支給などの対策を打ち出し、フランスの消費者物価は他のユーロ圏諸国ほど上がっていない。

マクロン大統領は新鮮味なく訴求力に欠けた

こうした経済・雇用情勢の好転にもかかわらず、マクロン大統領が苦戦を強いられたのは、同氏の主張や政策がフランス国民への訴求力に欠けていることを意味する。決選投票では前回同様に反極右票を集めて勝利した形だが、初回投票ではフランス国民の半数以上が極右と極左の候補に投票した(図表3)。

共和党と社会党の伝統的な2大政党の候補が合わせて7%弱の支持しか獲得できなかったにもかかわらず(前回は26%)、マクロン大統領の得票が伸び悩み、極右と極左候補に中道票が侵食されている。初回投票で22%の支持を集めた極左のジャン=リュック・メランション候補の支持者の多くが決選投票では棄権に回ったことに、マクロン大統領は助けられた。