小選挙区制で行われる国民議会選挙は、大統領選挙と同様に、初回投票で50%以上の支持を得る候補がいない場合、決選投票で勝者を決める。大統領選では初回投票の上位2名が決選投票に進出するのに対し、国民議会選挙では初回投票で12.5%以上の支持を獲得した候補のすべてが決選投票に進出する。3候補や4候補が決選投票に進出することで、思わぬ投票結果となることもある。

共和国前進が単独で議会の過半数を確保できない場合、他の中道政党、ポスト・マクロンの座を狙うエドゥアール・フィリップ前首相が旗揚げした新党、伝統的な右派政党である共和党の一部が、マクロン大統領の議会運営を助ける可能性がある。大統領選挙での惨敗を受け、国民議会選挙前後の共和党や社会党の分裂の動きにも注意が必要となろう。

マクロン大統領の後継候補はいまのところ不在

2008年に大統領の3選禁止規定が導入され、マクロン大統領は2027年の次回の大統領選挙には出馬しない。共和国前進は良くも悪くもマクロン頼みの政党で、党内に有力な政治家やマクロン大統領の後継者と目される人物はあまり見当たらない。

この間、マクロン大統領の政界進出と中道票の獲得で、過去に多くの大統領を輩出した伝統的な2大政党である共和党と社会党の地盤沈下が急速に進んでいる。大統領選挙の惨敗で共和党の分裂が噂され、社会党は存続の危機にある。

マクロン大統領は第五共和制を支えてきた政党政治に地殻変動をもたらした。今回の大統領選挙では、フランス国民の極右アレルギーが薄れてきていることと、伝統的な2大政党の凋落が明らかとなった。いささか気が早いかもしれないが、マクロン大統領が出馬しない2027年の大統領選挙の行方は、今回以上に混沌としたものになるだろう。

著者:田中 理