線路の幅わずか38cmの線路の上を、英国製SLが走る「鉄道」がある――。静岡県伊豆市の観光施設「修善寺虹の郷」には、石炭を焚いて走る英国製蒸気機関車が客車を引く、堂々たる“列車”が走っている。

「ロムニー鉄道」と呼ばれるこの鉄道は全長2.4kmあり、日本唯一の15インチ(381mm)ゲージ鉄道として1990年の開園以来、地元の人々に親しまれてきた。しかし、老朽化には勝てず、2021年8月から運休を余儀なくされていた。施設を保有する地元自治体の伊豆市は、改装のためクラウドファンディングで工事費を賄うことを決定。「ふるさと納税」の仕組みを使って広く寄付を募ったところ、目標額の1000万円を見事に超過し、計画通り老朽化した枕木の交換を実施することができた。

英国発祥、小さくても本物の鉄道

このところ家庭の事情で日本と英国を行き来している筆者は、復活した「修善寺虹の郷」のロムニー鉄道と、英国で今も走る「本家本元」の15インチゲージ鉄道の双方に乗る機会を得た。日英を走る、コンパクトながらも模型ではなく本格的な「超ナローゲージ(狭軌)」の鉄道である15インチゲージ鉄道の魅力を紹介したい。

「修善寺虹の郷」は、伊豆半島の中央部にある古くからの温泉街・修善寺温泉近くの山中にあり、広大な園内にはイギリスやカナダの街並みを模したエリアや日本庭園などが広がる。

鉄道敷設のきっかけは、開園準備の際に東京ドーム約10個分の広い園内を来場者に歩き続けてもらうのはいかにもつらいという問題が浮上したことだ。当時の修善寺町の職員らがアイデアを絞った結果、「英国に小型の鉄道がある」と見つけ出し、この鉄道の敷設に着手したのだという。現在、日本国内にある15インチゲージ鉄道はここだけだ。