ポストコロナにおいて経済復興を担う存在として大きく注目が集まる、スタートアップ企業。成功するための王道パターンというのは果たして存在するのだろうか?

シリコンバレーのベンチャーキャピタルData Collective(DCVC)社でパートナーを務めるアリ・タマセブ氏の著書『スーパーファウンダーズ 優れた起業家の条件』を一部抜粋、再構成し、4回連載でお届け。今回が最終回となる。

第1回:「起業は若いほど成功する」という俗説にモノ申す(4月22日配信)
第2回:「圧倒的成功する創業者は技術者」という説の真実(4月29日配信)
第3回:「学歴」が起業家の成否を決定付ける要素でない訳(5月6日配信)

起業前に平均11年の就業経験あり

就業経験について、起業家は相反するアドバイスを受ける。企業で働いた経験は、自分の会社を始める際の元になるイメージ―それに従うにしろ避けるにしろ―を持てるという意味で重要だと考える人もいる。一方、企業での経験を過大評価せず、会社を自分で始めたいなら、できればすぐにやるべきだという人もいる。

データを見ると、どちらにも一理ある。10億ドル達成企業への道は1つではない。すぐにスタートアップの世界に飛び込む人もいるし、40年間仕事の経験を積んだあとに起こした会社が10億ドルの価値を生むこともある。

10億ドル達成企業の創業者CEOは、その会社をつくる前に平均11年の就業経験を持つ。その現場は他の企業の場合もあるし、自分が前につくった会社の場合もある。

画像をさがして保存できるウェブサイト、ピンタレスト(Pinterest)の創業者、ベン・シルバーマンは、元はグーグル(Google)の社員で、広告チームのためのプロダクトをデザインしていた。グーグルではまわりに総合的にものごとを考えられる優秀な人材が集まっていたため、彼自身もそうならざるをえなかった。しかし同時に、グーグルはあまりにも巨大で、彼がつくりたかったプロダクトで常に実験できたわけではなかった。

ピンタレストを始めたとき、シルバーマンはもっと実験する自由を選んだが、グーグルでの経験から得たものも活用した。巨大検索企業での彼の最初の仕事はカスタマーサポートとして、電話に出ることだった。