今回買収が決まったツイッター社も価値の評価が難しいし、マスク氏を今や個人として世界一の富豪たらしめたテスラ社の株式も価値評価が難しい。

PER約180倍、テスラの株価はバブル?

テスラ社の時価総額は約9100億ドル(4月27日現在)で、1ドル=130円で換算するとざっと118兆円。トヨタ自動車のざっと4倍だ。PER(株価収益率)は約180倍だ。

アナリストの評価は割れている。

実際に自分でテスラの車を買った某氏は、「たった数百万円出すだけで“テスラー” (上手に発音してほしい)の仲間入りができて、こんなにいい気分になる世界観の構築がすごい。テスラは単なる自動車屋ではない」と感心して、現在の株価に対しても好意的だ。

一方、別のアナリストは、「テスラの企業としての価値がトヨタを超えるなど考えられない。電気自動車なので『ESGマネー』がテスラを買っているのだろうけれども、株価は完全なバブルだ。それに、電気自動車なんて、すぐに中国企業のほうがよりよくて安いものを作るにちがいない」と言う。

ちなみに、彼は、某経済紙でテスラの株価についてコメントする際に、「ESGバブル」という言葉を使おうとしたら、「当紙ではESGはバブルではないと判断しているので、この言葉は使えません」との「検閲」を受けたと言っていた。「ESG投資」は、金融業・資産運用業が何とかしてビジネスとして育てたいと思っている“期待の商品”なので、経済紙としてはケチを付けたくなかったのだろう。

テスラの株価がバブルかどうかの判断は難しいが、投資手法そのものとしての「ESG投資」は、何ら有効なものではないことは明らかだ。「E」(環境)も「S」(社会)も「G」(企業統治)もそれぞれ企業にとって重要だが、普通の投資評価の文脈で判断すればいいだけのことで、「ESG投資」という手法に追加的なお金を払う価値はない。

好きな人が喜んで余計なお金を払い、それをビジネスにする人がいるのは、当事者同士にとって何ら有害ではないが、そろそろこの商品のばかばかしさに気づくほうが賢いように思う。

ただ、いずれにしても、テスラの大きく評価された時価総額を使うことで、個人がツイッター社を丸ごと手に入れることができるという、大規模な時価総額交換ゲームが行われるアメリカ経済のダイナミズムはうらやましい。豪勢で、楽しそうではないか。