これに対し、イギリスとの共同開発は互いにメリットがあり、ウィンウィンになれる可能性が高い。主に4つの理由が考えられる。

1つ目の理由として、イギリスは現行の主力戦闘機「ユーロファイター・タイフーン」の後継として、次期戦闘機「テンペスト」の2035年までの実戦配備を目指している。これは日本の次期戦闘機と同じスケジュールでもあり、日英の連携を円滑にさせている。

2つ目に、日英が次期戦闘機に求める性能だ。両国とも海洋国として、採用する戦闘機に長い航続距離を必要とする。また、重いミサイルを搭載できる双発機(エンジンが2基ある航空機)を必要とする点でも共通する。日英が配備を進めているロッキード・マーティン製のF35戦闘機が満たせない性能だ。

イギリスとであれば対等なパートナーになれる期待

3つ目に、イギリスは、日本がF2開発で苦しんだエンジンとレーダーの共同研究や基本設計の協力を申し出るなど、防衛省内ではイギリスとであれば対等なパートナーになれるとの期待が以前からあったことだ。

次期戦闘機開発を担当するイギリス国防省課長のリチャード・バーソン氏が2020年9月23日、産経新聞に寄稿し、日英協力を強く呼びかける局面もあった。

「英国は、両国が必要とする改修の自由を互いに認めると同時に、将来のプラットフォームやシステムが米国などの重要な安全保障上のパートナーとの間で相互利用可能になることを保証する、対等な協力関係を構築する絶好の機会と考える」

これは「アメリカよりもイギリスを選んで」と訴える日本への熱烈アピール以外の何物でもない。

また、日英間では早くから大臣間で協力枠組みの合意ができ、具体的な協議が進んでいた。

実際に日英両政府は2月15日、次期戦闘機に搭載する予定の高性能レーダーの共同研究に関する取り決めに署名したと発表した。両政府は昨年12月22日にも、FXに使うエンジンの実証実験を今年1月に始めると発表した。

このほか、英国とは、欧州のミサイル大手MBDAが開発した視界外射程空対空ミサイル「ミーティア」に、三菱電機の「シーカー」と呼ばれるレーダーを組み合わせるJNAAM(Joint New Air-to-Air Missile)の共同研究も行われてきた。こうしたサブシステムで積み上げてきた技術協力の実績が次期戦闘機の日英共同開発を加速させ、後押ししていると考えられる。

4つ目に、日英は資金を出し合っての効率的な共同開発で、生産機数を増やし、量産単価を引き下げて、将来海外市場への売り込みを視野に入れていると考えられる。イギリスは欧州市場、日本はASEANなどのアジア市場への輸出がそれぞれ予想される。