前述の通りESAT-Jでは、受験者はタブレットやイヤホンマイクなど利用し、マイクを使って問題に対する解答を録音しますが、この方法は典型的な話の状況とはあまりにもかけ離れています。実際、プレテストを受けたある中学生は、「コミュニケーションは人とやるものだし、普段の授業でもこんなやり方で練習したことはありません」と率直な気持ちを語ってくれました。

こんなテストとそれに対する練習だけをしていると、話す力がつくどころか、相手の思いや意見に耳を傾け、それに対する自分の反応を伝えるという口頭コミュニケーション本来の姿からどんどん離れていってしまうということが危惧されます。

スコアレポートの内容がお粗末

スコアレポートにも問題があります。筆者の手元に実際に受験した生徒5人分のレポートがあります。本人とその保護者の了解を得て、閲覧させてもらっています。

レポートの「今回の結果」にはスコアが数値で、「ESAT-J GRADE(評価)」がA〜Fの6段階で表示されています。ここで驚くのはアチーブメント・テストと言いながら、テスト全体のスコアしか伝えていない点です。ESAT-Jは前述の通り、異なる4つのタイプの問題から構成されています。生徒がこれまでの成果を知り、今後の目標を立てるのに役立つ、タイプ別のスコアが伝えられていない。深刻な問題です。

評価はレポートの下部に示された6段階に対応するもので、それぞれのレベルに「得点域」と、何がどれだけできるかを示す「can-do statements」が示されています。「得点域」は一定ではありませんが、例えばAは80〜100となっています。

Can-do statementsというのは、「現在、あなたは〜ができる(can do)ところまで進歩しました」という形式で、達成度を伝えるための文章のことです。

スコアレポートには各受験者用に用意されたcan-do statementsが載っているのですが、気になるのは、同じくスコアレポートに載っていて、各レベルの一般的達成度を示す「ESAT-J GRADE Can-Do Statements」と一言一句変わりないという点です。

例えば、今回、D判定を受けた生徒のCan-Do Statements欄には「自分のことについて質問に答えたり、自分の考えを話したりすることができる。特有の場面で用いられる定形表現や簡単な語句などを用いて話すことができる」とありますが、これはレベルDに対応する一般的Can-Do Statementsと一言一句変わりありません。個別化せよとは言いませんが、もう少しきめ細かな対応はあってしかるべきです。