リーマンショック後、洋菓子のブームが去ってパンブームが到来したが、それはパンが日常遣いしやすかったことも影響していると考えられる。和菓子はハレの日需要が根強く何とかもってきたが、コロナ禍で耐えきれなくなったのだろう。

2つ目の要因は、都市部を中心に和菓子文化が身近にない人が増えていることだ。若い世代ほどその傾向は顕著で、オールアバウトと、「うなぎパイ」で知られる春華堂が2017年4月、首都圏の10歳以上の男女1299人を対象に行った和菓子に関する調査で、その実態がうかがえる。

10代で週に数回和菓子を食べる人は約2割で、洋菓子の半分ほどしかいない。10〜20代は、価格の高さに加え「かしこまった感じがする」「気軽に食べられない」と和菓子を敬遠している。

さらに「ういろう」「落雁」「ねりきり」といった和菓子を50代以上は約半分が認知しているのに対し、10〜20代は1〜3割しか認知していないことなどが判明している。

伝統や日本文化が「重荷」に

子どもの頃、日常的に食べる機会がなかったから、成長しても和菓子にはあまり手を伸ばさない、あるいは好みに合わない人が多いのではないだろうか。だから、需要がハレの日に限定されがちになる。和食もそうだが、伝統や日本文化を売りにする和菓子に、ハードルの高さを感じている人も多いようだ。

東京・新宿の京王百貨店にあった紀の国屋の店舗には営業終了のお知らせが(19日、編集部撮影)

そもそも、和食文化全体が日常から離れてきたのは、堅苦しいイメージの影響も大きい。法事などの改まった行事では和食店の門をくぐるが、日常的な会食ではイタリア料理店や中華料理店などを使う人も多いのではないか。和菓子の場合は、茶道をしている人が正座していただくイメージもありそうだ。和の文化は伝統ゆえに、正しく臨まなければ許されないような重たい印象があることは否めない。

3つ目は嗜好の変化。あんこやようかん、最中が苦手といった人は珍しくない。洋菓子やスナック菓子といった、スーパーやコンビニでも手軽に手に入るライバルスイーツが増え、和菓子を食べる機会は減っている。