明治神宮外苑の再開発が、動き出した。

2021年に東京オリンピック・パラリンピックが1年延期で開催された後に明らかになった計画案では、樹木約1000本が伐採され(日本イコモス調べ)、高さ60メートルのホテル併設野球場、55メートルの屋根付きラグビー場のほかに超高層ビルも建設されることが明らかになった。開発は、三井不動産、宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事が手がける。

ただ、すでに再開発計画に対する疑問の声が複数上がっているように、もともと港区と新宿区にまたがり約64ヘクタールに及ぶ神宮外苑地区は都市計画公園(将来的に都市公園として整備する計画の公園のこと)に指定されたエリアだ。

欧米の都市と比較して公園・緑地が乏しく、オープンスペースも少ないと言われる東京に残された貴重な緑の空間である。都市における公園の役割は、市民に憩いの空間を提供するだけでなく、地球温暖化によるヒートアイランド現象などの環境悪化を抑制する効果のある重要な社会インフラだといえる。

それにもかかわらず、緑地を縮小し、超高層ビルを建設する現在の計画からは、大都市・東京における「公園」の役割とはいったい何なのかを問い直さずにはいられない。

神宮外苑“幻”の再整備計画

実は、現在の再開発計画の話が持ち上がる前、それとは異なる再整備計画が提案されていた。

筆者は、2003年8月に作成された神宮外苑の再整備に関する調査報告書を入手している。これは神宮外苑の土地の大部分を所有する明治神宮の依頼を受けて、伊藤滋・東京大学名誉教授が委員長、蓑茂壽太郎・東京農業大学教授(当時)が副委員長を務め、日本スポーツ振興センター関係者などの有識者らも参加してまとめたものだ。

再整備の背景について、副委員長の蓑茂氏は「明治神宮は、神宮外苑のスポーツ施設の老朽化が進んだことから、この先どう運営・管理していくのか困っており、相談があったと記憶している」と当時を振り返る。

2003年の報告書が提案する再整備案は、以下のようなものだ。