アルトラパンのインパネまわり(写真:スズキ)

室内色は、すでに紹介したとおり薄い茶系だ。逆に黒系は選べない。

発売当時に試乗した印象は、前型に比べ120kgも軽量化した効果だろう、軽やかな運転感覚が爽快だった。高速道路を走っても、エンジン出力は十分と感じた。張りのある乗り心地で、操縦安定性もよく、手応えのしっかりした乗り味は、スズキの看板車種であるアルトの基本性能の高さを覚えさせる。

フロントウィンドウが寝すぎておらず、やや立った角度で、左右の窓ガラスの面積も大きいことなどにより、視界もよく、見通しが利くことによる安心ももたらす。そして全体的には四角さを残した形状により、車両感覚もつかみやすい。

とにかく、クルマを運転して出かけることを嫌に思わせない徹底した作りであることが強く印象に残った。これであれば、運転があまり得意ではないと思う人にも、選びやすい軽自動車といえるだろう。

高齢者にとっても嬉しいラパンの基本パッケージ

サイドから見たアルトラパン(写真:スズキ) サイドから見たアルトラパン(写真:スズキ)

そしてそのことは、女性目線で企画・開発されたラパンとはいえ、高齢者にとってもありがたい性能や作りであるのだ。なおかつ、落ち着きのある車体外装色も設定されているので、たとえば焦げ茶色のラパンは、白髪の男性が運転していても洒落て見えるのではないかと、自分が乗る姿を思い浮かべることもできた。

アルトラパンのリアビュー(写真:スズキ) アルトラパンのリアビュー(写真:スズキ)

女性向けとか、女性の目線で開発されたクルマは、かつては可愛らしさだけが表立っていたこともあったが、女性が本当に自分のクルマとして持ちたくなるのは、可愛らしさだけでなく、本物志向であり、かつ誰にもわかりやすく、操作しやすく、扱いに困らないクルマであるはずだ。それは、日々利用するクルマとしてだけでなく、老若男女を問わず愛用できるクルマということになるだろう。

そのことが発売から7年を経て、なお着実な販売をアルトラパンが続けられる理由である。と同時に、将来的に電気自動車(EV)となればさらに誰もが愛用でき、なおかつ高どまりするガソリン代に苦慮せず、その半額以下で収まるであろう電気代で利用できる日本ならではの生活車となるはずだ。

暮らしに欠かせぬ軽自動車で人々に愛され続けてきたスズキの商品として、次期アルトラパンが軽自動車として価値ある価格のEVとして登場すれば理想的だ。運転を苦手とする人にこそ、EVはあらゆる性能を高め、また、もっと身近に扱えるクルマに仕立てられる潜在能力を持つのである。

著者:御堀 直嗣