SDGsがブームのように広がっていますが、誤解や認識不足が原因で、「サステナビリティを中軸にした経営」の導入に二の足を踏む経営者も少なくありません。今回は環境・社会問題の解決と利益の両立を進めるにあたって、自身の利益の最大化を目的とする「短期投資家」との接し方について解説します。

※本稿は坂野俊哉氏と磯貝友紀氏の共著『2030年のSX戦略〜課題解決と利益を両立させる次世代サステナビリティ経営の要諦』から一部抜粋・再構成したものです。

経営者に口出しをするステークホルダーは何人もいる

今、企業には、事業を通じて環境・社会課題を解決し、同時に利益も出すことが求められているが、それを実現するには中長期の時間軸で投資回収を考える必要がある。その際に立ちはだかるのが「短期投資家」だ。サステナビリティ経営を語るとき「短期投資家の言うことを聞かなくていいのか?」と疑問を持つ経営者が少なくない。

この質問の答えを考えるに当たって、「高速で暴走する馬車」と手綱を引いてそれを必死に制御しようとしている「御者」の姿を想像してほしい。

暴走する馬は、無限成長を目指す資本主義やその実現手段となるテクノロジーを表している。手綱を引いているのは、経営者だ。

御者台(ぎょしゃだい)の後ろには、経営者に口出しをするステークホルダーが何人もいる。1人目は「短期投資家」だ。

短期投資家は最も早くから御者台近くに座っており、現在は経営者の最も近くに陣取っている。自身の利益の最大化を目的に、経営者に対して「もっと速く走れ」と要求する。