5月31日、2022年度補正予算が可決成立した。当初、参議院選挙前の補正予算編成に消極的とみられた岸田文雄首相だったが、公明党に押されて編成することとし、当初予算に計上された予備費の使用済み分を積み増すという極めて稀にみる補正予算となった。

その傍らで、財政健全化目標について、政府与党内での対立が浮き彫りとなった。2025年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を堅持するよう求める財政再建派と、その目標を覆そうとする積極財政派が、今年の「骨太方針」(経済財政運営と改革の基本方針)に盛り込む文言をめぐって対立したのだ。

「骨太方針」から重要な文言が消えた?

結局、「骨太方針2022」では、「これまでの財政健全化目標に取り組む」とだけ記し、「プライマリーバランス」や黒字化目標年度となる「2025年度」は明記しないという。

ただ、鈴木俊一財務相は、記者会見などで、ここでいう「これまでの財政健全化目標」には、2025年度のプライマリーバランスの黒字化を含んでおり、その方針に変更はない、と明言している。

表面的にみれば、財政健全化の姿勢は後退したと言わざるを得ない。ただ、もう少し実態的に踏み込んで、財政状況をみる必要がある。

注目すべき点は2つある。7月上旬には、2021年度の国の決算の概要が発表される。そこでの注目点は、2020年度からの繰越も含めた歳出と税収である。

2021年度の歳出は、史上稀にみる状況にあった。まず、2021年度の当初予算の一般会計歳出は、過去最高規模の106.6兆円を計上した。加えて、単独の補正予算としては過去最高規模の36.0兆円の歳出の追加を行った。ただでさえ、巨額の歳出予算となっているうえに、2020年度から30.8兆円もの歳出予算が繰り越されていた。つまり、これらを合計して173.4兆円もの予算が、2021年度に支出可能な状態になっていた。

財政出動を増やせと唱えるなら、この予算を、まずは使い切るように支出すればよい話である。ところが、実際には、予算を余らせるほどにしか使えていないのである。