今年もいつ熱帯〜亜熱帯地域でインフルが流行するか、わからない。水際対策は大幅に緩和され流行すれば、日本に入ってくるまであっという間だ。

実は、亜熱帯地域からのインフル流入は、コロナ以前から日常的に起きていた。今世紀に入って、日本でも夏に流行するようになったこと、お気づきだろうか。

記憶に新しいところでは、2019年9月、東京都東村山市の公立中学校でインフルエンザによる学級閉鎖が行われた。まだ残暑の厳しい時期で、大きなニュースとなった。

さかのぼって私自身がよく覚えているのが、2005年7月、沖縄のインフルによる学級閉鎖だ。当時はまだ夏にインフル患者さんを診たことがほとんどなく、衝撃的だった。

近年では、沖縄県は一年中インフルが発生しており、人口比で考えると国内で最も発⽣率が高い。日本災害看護学会の資料では、沖縄県の人口当たり感染数は、2018年は全国の15倍、2019年は43倍だった。

上記資料では、「東南アジア、または南半球からの観光客がインフルエンザウイルスを運んでくる」可能性を示し、「東南アジア→沖縄県→本⼟」と「海外→その他海外」という伝搬ルートの存在を指摘している。

日本人の対インフル免疫は「脆弱」になっている

「だから今、水際緩和などしたら大変だ! 」などと言いたいわけでは、もちろんない。

たしかにこの夏、インフルエンザは発生するかもしれない。それでも、私たちはこれまでも“withコロナ”同様、海外からインフルエンザ他の感染症を迎え入れながら、何とかやってきた、ということだ。

問題があるとしたら、迎え撃つ私たちの免疫のほうだ。

日本に住む人々の対インフル免疫は、もうだいぶ手薄になっている。2シーズン完全に流行が消滅していたためだ。

インフルエンザにかかったら免疫ができることや、それを応用したのがワクチンであることは、多くの人が知っていると思う。しかし、流行そのものが個人の免疫維持に役立つことは、あまり知られていない。

流行していれば、あちこちで、ごく少しずつウイルスに出くわす。免疫システムがその都度、敵を撃退しつつ、次の遭遇に備えて準備体制を整えておく。

だからこれまでは「ワクチンを打たなくてもかからなかった」人も大勢いた。しかし今、インフルエンザウイルスを捉えるための“顔認証システム”は、すっかりサビついている。海外から再びウイルスが投入されたら、ひとたまりもないだろう。

本当は、流行のないときこそワクチンを打っておくべきだった。昨シーズンもそう呼びかけたので、打っていただいた方は幸いだ。