三木谷浩史(みきたに・ひろし)/楽天グループ代表取締役会長兼社長、新経済連盟代表理事。1965年神戸市生まれ。一橋大学卒業後、日本興業銀行に入行。ハーバード大学にてMBA取得。興銀を退職後、1996年クリムゾングループを設立。1997年エム・ディー・エム(現・楽天グループ)を設立し、同年インターネット・ショッピングモール「楽天市場」を開設。楽天野球団代表取締役会長兼オーナー、楽天ヴィッセル神戸代表取締役会長、東フィルハーモニー交響楽団理事長

モデルケースになるのは韓国です。BTSやTWICEといったアーティストやドラマ作品といったカルチャーコンテンツを発端にして、韓国製品のイメージも「カッコいい」ものとして磨かれていますよね。

フランスも文化戦略がうまい。ルイ・ヴィトンをはじめ、あらゆるジャンルのフランス製品の単価が高くなるのは、文化の価値を高めることに成功したからです。日本ももっと文化に投資するべきだと思います。

岸田政権が10兆円規模のファンドを設立して運用益を科学技術分野に投資するという政策を始めましたが、ソフトコンテンツが盛り上がるための施策も考えていただきたいですね。日本発のコンテンツの価値が上がっていくことによって、日本製プロダクトの価値も上がるはずですから。

日本は国内外の若者への投資が足りない

星野:若者が日本中を旅する文化も復活させたいと思っています。私たちが若い頃は、学生はお金をかけずに時間をかけて貧乏旅行を楽しむのがスタンダードでしたよね。

三木谷:そうそう、「青春18きっぷ」を使って、ローカル線で旅をしたものです。

星野:ところが、今の若者はそれをしなくなっている。新幹線の料金は高くて手が出ないです。

結果、日本の地方の魅力を知らないまま社会に出ていく日本人が増える。これも世界へのアピール力低下と無関係ではないはずです。

さらにいえば、観光旅行市場でインバウンドよりはるかに大きな収益を支えているのは、日本人による国内旅行需要。訪日外国人が3000万人来た2019年でも、観光消費額28兆円のうちインバウンドが占めるのは4.8兆円(「令和2年版観光白書」より)。残る22兆円は日本人の国内消費なんです。つまり、ここを刺激し続けないと、日本の観光産業そのものが持続できない。

中長期的な国内需要対策をすることが、インバウンドを可能にする大前提であり、だから将来世代にもたくさん旅行をしてもらいたい。

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