「流線形」は鉄道を含む乗り物においては、もともとは空気抵抗を減らすためにデザインされたものであるが、1930年代には欧米で工業製品に多く取り入れられ隆盛を極めた。スピード感を強調するこのデザインは鉄道車両にも世界的に採り入れられ、日本の鉄道界も蒸気機関車から電車、気動車に至るまで「流線形ブーム」に沸いた。

今では新幹線などの超高速列車のみならず、一般的な新型車両の先頭部に流線形が採用されている。これらはもはや速度自慢を表す形態ではなく、スマートさを強調し「カッコいい」デザインという位置づけである。その発展と現在の位置を歴代の車両と共に振り返ってみたい。

世界を席巻した流線形

アメリカの鉄道がまだまだ全盛期だった1930〜1940年代には、蒸気機関車やディーゼル動車に流線形スタイルを採り入れた奇抜な機関車が登場した。まさに流線形ブームの1935年に運行を開始したペンシルバニア鉄道GG1形電気機関車もそのひとつで、この自重約216トンの機関車は斬新なスタイルで世界的に知られた有名な機関車である。筆者も実車の走行シーンを撮影した。その歴史的な意義から今も各地で保存されている。

アムトラック継承後のGG1形電気機関車が牽引する「セネター」号=トレントン駅(撮影:南正時)

流線形車両は戦前のナチス第三帝国時代のドイツが盛んに開発しており、1933年に登場した電気式ディーゼルカーのSVT877形「フリーゲンダー・ハンブルガー」は世界的名声を誇った。量産型車両は1935年に製造開始され、「ハンブルク型(Bauart Hamburg)」と呼ばれるSVT137 225編成はライプツィヒ中央駅で保存されている。