ドル円相場は134円台を突破し、約20年ぶりの安値を再び更新している。

5月の小康状態を受けて「円安局面は終わったのか」という照会が多かったが、筆者にはまったくそうは思えなかった。

そもそも円売りを駆動してきた、①世界的にも特異な日本銀行の緩和姿勢(金利)、②収束のメドが立たない貿易赤字(需給)、という2つの論点は終始変わっていない。

6月からはインバウンド解禁という、②の貿易赤字を緩和するアプローチが政府から見られているが、1日2万人の入国上限で見込める旅行収支黒字は年間で7000億円弱、月に均せば約580億円にすぎない。一方、過去3カ月の貿易赤字は月平均6500億円である。これでは焼け石に水であり、根拠薄弱な入国上限のせいでせっかくの円安抑止策は奏功しない見通しである。

円独り負け→5月の小康状態→ドル高による円安

昨年来続く円安基調を振り返ってみると、「ドル高の裏返し」というにはあまりにも円の下落幅が大きい。

名目実効為替ベースで見た場合、2021年通年でドルは3.4%上昇している一方、円は8.7%も下落している。特に円安が勢いづき始めた今年3月は名目実効ベースで「ドルも円も下落する」という光景が広がり、明らかに「ドル高の裏返し」ではなく、円売りこそが円安の正体だった。