全国で初めて全線を新設するLRT(次世代型路面電車)として注目を集める、栃木県宇都宮市・芳賀町の「芳賀・宇都宮LRT」。2021年1月には用地取得の遅れから開業が当初予定より1年程度遅れて2023年3月になると発表したものの、沿線各地の道路で軌道敷設工事が進み、昨年5月末には「ライトライン」と呼ぶ鮮やかな黄色の車両も姿を現すなど、来春の開業に向けて準備が着々と進行しているように見える。

だが6月3日、宇都宮市は市議会議員協議会で一部区間の工事が約3カ月遅れていることを報告、同区間の完成が2023年の年明け以降になる見込みであると明らかにした。今後のスケジュールは「精査中」だが、予定では年内に全線工事完了と試運転開始を目指していたことから、2023年3月の開業は延期となる見通しだ。

開業延期となれば今回で着工以来2度目。工事の遅れはなぜ起きたのか。

すでに軌道やホームがあちこちに

LRTはJR宇都宮駅東口から市東部の清原工業団地を経て、隣接する芳賀町の芳賀・高根沢工業団地まで約14.6kmを結ぶ。うち9.4kmが路上の併用軌道で、鬼怒川を横断する橋など約5.1kmは専用の軌道を走る。インフラは市と町が整備・保有し、開業後の運行は第三セクターの「宇都宮ライトレール」が担う「公設型上下分離」方式で運営する。開業後は工業団地従業員などの足として、平日1日当たり約1万6300人の需要を見込む。

宇都宮ライトレールの車両HU300形「ライトライン」(記者撮影)

軌道の工事は2018年6月に着工。全区間のインフラの中でもハイライトといえる、鬼怒川を渡る長さ約640mの橋梁は2021年秋に完成した。宇都宮駅東口から延びる「鬼怒通り」をはじめとする道路上では軌道の敷設が進んでおり、清原工業団地内の停留場はホームもほぼ完成した状態で、今にも電車がやってきそうだ。実際に、今回遅れが明らかになった区間以外は年内に全ての工事が完了する見通しという。