ここ数年業界を悩ます半導体不足や新型コロナウイルスの感染拡大によって新車の生産が制限される状況は相変わらずだ。そうした生産網の混乱を背景に、発売日は軽EVの生産ラインが公開された5月20日に「今夏」とだけ公表した。日産と三菱自の意見に食い違いがあったためで、発表後に両社が6月16日に発売することが決まった。

この点について三菱自関係者は「三菱自としてはもともと6月中の発売を予定していたが、日産側が販売店の試乗車や展示車が足りないということで発売日の公表を延期した」と内実を明かす。

「とにかく車を早く作ってほしい」

日産の車を扱う国内販売店の数は2000店舗と三菱自の500店舗の約4倍。必要な新車の数もその分多くなる。日産系販売会社からは「発表してくれるのもいいが、それよりもまずはとにかく車を早く作ってほしいというのが本音」(首都圏の販売会社社長)という声が聞こえてくる。

それでも、せっかく発表した新型車の発売日が決まらない状況は販売にも悪影響がある。その点を懸念してか日産側も足並みをそろえたもようだ。

(写真上)日産の軽EV「サクラ」。日産にとっては初めての軽EV投入となる(写真:日産自動車)(下)三菱自の「eKクロスEV」。昨年3月に生産終了した「アイミーブ」以来の軽EVとなる(写真:三菱自動車)

日産には生産が安定しない現状で発売日を明確にすることへのトラウマもある。2022年5月、10年ぶりの新型EVとして販売が始まったアリア。

2020年7月に発表した当時は発売時期を2021年中ごろとしていたが、その後半導体不足の影響が広がり1年近く後ろ倒しになってしまった。

軽EVについて、日産幹部は「発売が延期するような事態は避けたい」と話す。年間販売台数目標も三菱自は1万台と公表したが、日産側は「元々の計画はあったが、本当に作れるだけ売るというのが計画」(星野朝子副社長)として明確な数値を開示していない。

生産を請け負う三菱自の2022年4月の国内生産台数実績は前年比の7割弱となる2万3240台にとどまっている。生産が不安定なままでは顧客を逃すだけでなく販売店の営業活動にも影響を与えかねない。