6月10日にアメリカの労働省が発表した5月の消費者物価指数(CPI)は、市場の予測を上回る非常に厳しいものとなった。前年同月比では8.6%上昇と40年半ぶりの記録的な上昇となった。

総合指数は前月比0.6%上昇と、市場予測の0.5%を上回っただけでなく、前年同月比でも5%上昇と、2008年8月以来の高い伸びとなったからだ。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数も前年同月比で6.0%上昇。これらを嫌気して、10日のNYダウ工業株30種平均は前営業日比800ドル安となっただけでなく、週明けも下落を続け、14日で5日続落している。

0.75%以上の利上げはあるのか?

少し前に時計の針を戻すと、そもそも4月のCPIも非常に判断の難しい微妙な内容だった。総合指数は前月比0.3%の上昇、前年比では8.2%の上昇と、ともに予想を上回る伸びとなったからだ。このときも、発表直後にはインフレの高止まりが続くとの懸念から長期金利が上昇、株価指数先物には大きく売りが膨らむ格好となったが、その後、アメリカの相場は落ち着きを取り戻したかにみえた。

だが、5月の消費者物価の結果で、市場の期待は打ち砕かれた。さすがに物価が前年比で10%を超えて上昇ペースが速まるといった、ハイパーインフレに近い状況に陥る恐れこそ遠のいたものの、インフレが高止まりするリスクが大きくなっている。

CPIはこの先も前年比で7〜8%という強い伸びを維持する可能性が高く、簡単には低下に転じそうもない。ましてやFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が目標としている2%に戻るのは、数年先の話になると考えておくべきだ。

すでに、今回の物価関連指標の内容を受けて、利上げ方針が変更される可能性も指摘されている。前回5月3〜4日のFOMC(連邦公開市場委員会)直後の会見では、ジェローム・パウエルFRB議長は、6・7月の2回の会合で、それぞれ0.5%の利上げが検討されるとの見方を示していた。6月10日の5月CPI発表までは、大半の市場関係者も、この方針が維持されると見ていた。

だが、CPIの加速を受け、英バークレイズなどは6月14〜15日のFOMCで0.75%の利上げを予想。0.75%となれば、1994年以来の大幅利上げとなるが、1%引き上げの予測まで出ている。