近畿日本鉄道(近鉄)は5月下旬、統合型リゾート(IR)の計画される夢洲(大阪市)への直通に向け、架空線電化区間の近鉄各線から第3軌条区間のけいはんな線・大阪メトロ中央線の直通に備えた可動式集電装置の試作品が完成し、試験に着手すると発表した。

この架線区間と第3軌条区間の直通運転を実現するためには、もう1つ必要となる条件がある。それは車両が「複電圧車」であることだ。

複電圧車、どのくらいある?

複電圧車はその名の通り複数の電圧に対応した車両。近鉄の場合、架空線電化区間の電圧は直流1500Vなのに対して第3軌条区間の電圧は直流750Vとなっており、直通運転をするためには2つの電圧に対応させる必要がある。

箱根湯本駅構内にある直流750V区間と直流1500V区間の境にあるデッドセクションを通過する箱根登山鉄道モハ1形(右)。手前が直流1500V区間で小田急の車両が乗り入れる(筆者撮影)

近鉄の夢洲直通に関しては過去の記事(2019年2月9日付記事「近鉄『夢洲―奈良』直通特急、実現は難しくない」)で一度触れており、実は技術的に大きな問題ではないと説明したのでそちらも参照していただきたい。

複電圧車は過去にも多数存在したが、今回は改めて、現在国内で運用している複電圧車とその仕組みを考えてみたい。

現在、日本国内で運用している複電圧車は、箱根登山鉄道の車両、JR東日本の新幹線E3系・E6系・E926形East i(電気・軌道総合試験車)、在来線ではE001形「TRAIN SUITE 四季島」、JR貨物EH800形電気機関車がある。