今年1月に行われた一橋大学(東京都国立市)の外国人留学生向け入学試験中に問題が外部に流出した事件で、中国人2人が偽計業務妨害容疑で逮捕された。

カンニングありきなら海外でも知名度が高い東京大学の受験を選びそうだが、なぜ一橋大学だったのか。捜査中のため詳細は明らかになっていないが、コロナ禍であることを考慮した一橋大学の「配慮」が、悪用された可能性もある。

逮捕されたのは一橋大学1年生の王嘉璐容疑者(22)と、大学院生で王容疑者の家庭教師をしていた李歳寒容疑者(28)。報道によると王容疑者は入試問題を動画撮影して李容疑者に送信。王容疑者の自宅からは超小型のワイヤレスイヤホンが押収されており、李容疑者が問題を解いて解答を伝えたと見られる。

ただ、李容疑者は苦手だった数学の解答を別の中国人に依頼し、この中国人がSNSを通じて協力を呼び掛けたことから、不正を疑った投稿閲覧者が一橋大学に通報。問題流出が発覚した。

両容疑者の逮捕後、事件を取材する複数の記者から中国の受験事情について質問を受けたが、筆者が疑問に思ったのは、「不正ありきならなぜ東京大学を受けなかったのか」という点だ。

なぜ東大にしなかったのか

一橋大学はたしかに難関だが、総合大学でないこともあってグローバルでの知名度は日本国内ほど高くない。イギリスのクアクアレリ・シモンズ(QS:Quacquarelli Symond)が先日発表した2023年版「世界大学ランキング」では上位500位に入っておらず、筑波大学、広島大学、千葉大学より下位にある

(※ただし大学ランキングでは理系学部が充実した総合大学のランクが高くなりやすく、中国で社会科学系大学としてトップレベルにある中国人民大学も、今年5月にランキング不参加を表明している)。

中国の学歴社会、受験戦争の激しさは日本の比ではなく、「母国に比べたらトップ大学に入学しやすい」と日本に来る中国人は少なくない(中国の入試で起きたカンニング事件に関しては、こちらから)。カンニング前提なら、日本最難関の東大を受けるのが最もコスパがいいはずだ。

だが気になって調べると、一橋大学の外国人向け入試は他の難関国立大に比べ、カンニングの効果が高い方式であることが分かった。