今後の注目は、「ゲームチェンジ」を起こせるような大型製品を投入できるかどうかだろう。

10月から発売するビアボールは、社内新設のイノベーション部が初めて手がけた商品。ビールを炭酸水で割って飲む商品だ(写真:サントリービール)

10月から発売するビアボールは、新たな需要や顧客層を掘り起こすことができる可能性はある一方、「あくまでも変わり種の商品」(前出の競合メーカー社員)との位置付けと見る向きもある。実際、目標に掲げる2024年の販売数量も100万ケースに過ぎず、小粒感が否めない。

アサヒとキリンとの差を埋めるには、メインボリュームゾーンである「スーパードライ」や「一番搾り」などと互角に戦える中価格帯の製品が鍵を握る。2021年にビールで国内トップブランドだった「スーパードライ」の販売数量は6082万ケース。対するサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」は1101万ケースで、大きく突き放されている。

「今までは(高級路線の)ザ・プレミアム・モルツで他社とは違う戦い方をしてきた。ただ、ど真ん中の(中価格帯も)新製品を検討している」(西田社長)

最後の酒税改正は4年後に待ち受けており、西田社長は「勢力図を大きく変えるラストチャンスだ」と強調する。残された時間がそう多くない中、「サントリーの魂」は底力を見せつけられるか。その真価が問われる。

著者:井上 昌也