この調査については、予期せぬバイアスが影響している可能性もあり、追試が必要だ。ただ、今回の調査結果は興味深い。子どもに追加接種を受けさせる家庭は、コロナ対策に関心がある。軽症・無症状でも検査を受けさせた可能性が高い。この結果、追加接種者ほど、感染者を検出しやすく、追加接種の効果が過小評価されていると考えるのが妥当だ。このあたりのバイアスについては、前回の記事(「ワクチン打つとコロナかかりやすい説が眉唾な訳」6月9日配信)で解説した。それでも、91%の感染予防効果があることは驚異的だ。

2回目接種までの効果については、中高生も一般成人も大きな差はない。昨年5月、5〜11歳の小児2260人を対象としたアメリカ・ファイザー製コロナワクチンの臨床試験の結果が、アメリカ『ニューイングランド医学誌』に掲載されたが、接種群で感染者はなく、予防率は100%だった。今回の相馬市の研究では、追加接種の効果が、2回接種と変わらないことを意味している。

なぜ、若年者ほど追加接種が有効なのか。若年者のほうが免疫力は強いのかもしれないが、このあたり、まだはっきりとしたことはわからない。今後の研究が必要である。

アメリカは若年者への追加接種を推進

若年者に対する追加接種の推進は、世界的な趨勢だ。4月、ファイザーは5〜11歳を対象とした追加接種の臨床試験の結果を発表し、オミクロン株の中和抗体価が、追加接種により36倍上昇していたと発表し、5月17日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、この年代の小児に対する追加接種を承認した。

さらに5月23日、ファイザーは、6カ月〜5歳未満の小児に対しても追加接種の効果が確認されたため、適応拡大を目指すと発表した。若年者での追加接種の有効性を支持するという点で、相馬市の調査結果は、このような動きとも合致する。以上が、現時点での若年者の追加接種に対する情報だ。

若い頃の1年間は重要だ。コロナに怯えず、できるだけ多くの経験をしてほしい。今夏のコロナ流行を乗り切るうえで、本稿がお役に立てば幸いである。

著者:上 昌広