「当社の採用する事前登録制及び事前抽選制の正当性が司法判断により正面から肯定された」

6月27日にスルガ銀行が公表したニュースリリースには、どことなく安堵の気持ちがにじんでいる。

株主総会に出席できるのは「当選」した株主のみとするスルガ銀の取り組みが、法廷闘争にまで発展した。背景にあるのは個人株主の反発だ。総会では、スルガ銀の融資を受けた投資用不動産オーナーを中心に、300人の株主が社長解任など10の株主提案を行っている。

「(事前登録制によって)われわれを会場から意図的に排除しようとしている」。スルガ銀の抽選制に不満を抱いた個人株主が、撤回を求める仮処分を静岡地方裁判所沼津支部に申し立てた。27日に申し立ては却下されたものの、今後の総会運営のあり方に一石を投じそうだ。

投資用不動産オーナーの対応に翻弄

「すべての株主に出席の機会を平等に与えるためだ。特定の株主を排除する意図はまったくない」。抽選制を導入した理由について、スルガ銀の広報担当者はこう説明する。

抽選制を告げるスルガ銀行の招集通知(記者撮影)

投資用不動産ローンの問題が表面化する前後で、スルガ銀の株主総会は大きく変わった。

2017年までの会場は、静岡県沼津市にあるスルガ銀本店の会議室だった。2017年の出席株主数は71人と、足を運ぶ株主は一部にとどまった。

ところが、2018年の総会にはスルガ銀株を取得した投資用不動産オーナーが大挙して押し寄せる事態となり、会場も近隣のコンベンション施設へと変更を余儀なくされた。出席株主数は前年の約5.7倍の406人に上り、翌2019年は556人と輪をかけて増加。コロナ禍を受けて来場自粛を呼びかけた2020年も183人が出席した。