しかし①の当て舵は長時間になるとドライバーの疲労度合いを一気に高めるし、②のしなりは走行する路面環境や積載する荷物(例/個体or液体、重心位置)によって最適な強度設計が異なる。トラックごとに走行特性が違うのはこのためだ。北欧生まれのボルボでは、滑りやすい路面環境と耐荷重の兼ね合いからしなり具合を計算したという。

ボルボ・ダイナミック・ステアリングは、その①の当て舵の役割を電動モーターがアシストする。さまざまなパラメーターから演算した情報を基に秒間2000回のサイクルで電動モーターを制御する。

わずかな振動を抑え疲労を軽減

しかも、ボルボ・ダイナミック・ステアリングは走行シーンや運転方法を問わず、エンジンを始動してから停止させるまで、前進だけでなく後退時も走行中であればつねに働く。よって長時間、あらゆる環境での走行を強いられる商用車に最適な運転支援技術といえる。

電動モーターのサポート力は、9インチのタッチ式液晶カラーモニター上で変更できる。ここでは「反応性/軽量/安定した/デフォルト」の定められたプリセットから選択する。

ボルボ・ダイナミック・ステアリングのカスタム設定画面では4つの項目が3段階で各々調整可能

また、プリセット以外にもカスタム設定が可能で、「直進/コーナリング/リターン/制動」の4つの項目を、それぞれ3段階(高い/ニュートラル/低い)から調整可能だ。

サポート力は、プリセットの「安定した」がもっとも手応えがあり、車体の直進安定性がさらに向上したかのような特性になる。高速道路の継ぎ目を越えた際、普段ならステアリングに振動(キックバック)がくるが、ボルボ・ダイナミック・ステアリングではそれがいっさいない。

もっともステアリングの振動といってもわずかなものだが、長時間の高速走行では疲労困憊の一因となるため、振動が消滅するのはとてもありがたい。

「反応性」では一転し手のひらと車体の一体感が高まり、同時にステアリングの操舵フィールが全体的に軽くなる。狭い駐車場での小回りや切り返しが必要な場面では有効だった。

以前、ボルボ・ダイナミック・ステアリングを搭載した、トレーラーを牽引したトラクター(筆者は大型二種と牽引免許を保有する)の試乗を行った。牽引した状態での後退はつねにステアリング操作が必要になるが、ボルボ・ダイナミック・ステアリングの電動サポート力のおかげでずいぶんと後退が快適だった。