金融庁の出した答えが、行政処分の中で旧経営陣の責任を、文書に明示的に盛り込むことだった。今回の行政処分の資料を見ると、マニュライフの「前CEO」や「前専務執行役」とほぼ名指しするかたちで、「商品開発段階から主導していた事実を鑑みると、とりわけ責任は非常に重く、一連の行為には組織性が認められる」(金融庁)と厳しく指弾している。

直接の処分は下せないものの、前職における経営責任を明らかにすることで外堀を埋め、本人や移籍先の保険会社に自主的な対応を迫るというやり方だ。そのため焦点は、マニュライフの前社長兼CEOで現在アフラックの副社長を務める吉住公一郎氏と、マニュライフ前専務執行役でアフラック常務執行役員の勝矢宏氏の処遇に移った。

金融庁がアフラックに探り

仮に今後、アフラックが両人の守りを固めてくるようなことがあれば、両人に引責させることは難しくなる。実際に金融庁はその感触を確かめようと、行政処分を下す1カ月前の6月中旬、訪問してきたアフラックの役員に対し、吉住氏を「どう評価しているのか質問している」(アフラック関係者)という。

同関係者によると、アフラックの役員はとっさに「活躍されている」などと答えたというが、金融庁の目には守ろうとしていると映ったに違いない。その面談以降、金融庁はアフラックが政治家などを使って対抗してくる可能性を考え、先手を打つようにして政府サイドや与党議員に徹底して根回しをする姿が見受けられたからだ。

一方で、金融庁のそうした思いは杞憂に終わるかもしれない。吉住氏が統括する営業部門は現在、思うように成績を伸ばせず、アフラックのアメリカ本体から厳しい視線を注がれている。金融庁がわざわざ圧力をかけずとも、そのまま失脚する可能性がある。

また、あるアフラックの役員は「監督当局から過去の行為について糾弾された人物を、経営の中枢にとどめておくことの風評リスクはやはり大きい。うちの首脳陣としても、吉住氏らに自主的な退任を促す方向にもっていくはずだ」と話す。

旧経営陣の責任にも言及するという金融庁の異例の行政処分に対し、その張本人を受け入れたアフラックは今後どう向き合うのか。処分の内容について、アフラックは「他社事案についてのコメントは控える」と回答した。

著者:中村 正毅