ロシアのウクライナ侵略は数々の教訓を残したが、国家の政策形成やその運営、さらに統治の観点からみても重要な問題を世界に提起している。それは、専制国家や専制的指導者は自国民や世界に重大な損害をもたらしかねず、その台頭を防がなければならないということだ。世界に多大な影響を与える米中ロの3国をみると、アメリカの今後に不安を抱かざるをえない。国際報道記者、研究者としてアメリカ政治を取材、研究してきた成果をまとめた『アメリカの政治任用制度』を出版した関西学院大学の小池洋次フェローが、米中ロが抱える懸念について解説する。

プーチンの明らかな誤算

まず、ロシアのウクライナ侵略のこれまでの経過を振り返っておこう。

プーチン・ロシア大統領の軍事、外交両面での誤算は明らかだ。軍事面での誤算とは、侵略戦争の準備から開始、そして遂行に至る数々の判断ミスである。ウクライナのゼレンスキー政権を難なく倒せると考え、戦争の長期化が避けられると読んでいたことは間違いなかろう。欧米がウクライナへの軍事支援について結束したことも誤算であった。

結果として、ロシアは軍事面で多大な犠牲を払い、経済面でも損失を被りつつある。人材は海外に流出し、科学の発展や技術開発に支障をきたす可能性があり、国の国際的な評価は大幅に下がってしまった。国力という観点からみると、軍事や経済というハードパワー、それ以外のソフトパワーともに、低下の道をたどっていると言わざるをえない。