アメリカ株市場は6月中旬に大きく下落したあと、7月に入ってもしばらくは日々のニュースフローに反応しながら、方向感なく推移していた。株価が下げ止まったのは割安感が高まったことが一因で、7月後半には反発の動きがみられている。ただ、代表的な指標であるS&P500種指数は、7月22日時点で年初の高値から依然約17%下落している。

筆者はこれまでのアメリカ株の下落は、FRB(アメリカ連邦制度準備理事会)の利上げなどを理由にした、ハイテク株中心のバリュエーション調整(株価収益率の低下)で多くが説明できる、と考えている。

FRBの政策対応力への疑念は払拭されず

一方、アメリカの長期金利(10年国債)は、6月中旬に3.5%付近でピークをつけ、直近では2.8%も割り込んだ。長期金利の急低下にはいくつか要因があるが、原油や小麦などの国際商品の価格がロシアのウクライナ侵攻が始まった2月後半付近まで下落、市場参加者が抱く高インフレが継続するリスクが一時よりも和らいでいることが大きい。

現在、FRBは少なくとも年末まで継続するとみられる利上げで経済成長と高インフレの抑制を図っており、この効果は徐々にあらわれている。だが、7月13日に判明した同国の6月消費者物価では、家賃などサービス部門の価格上昇率にはなお鈍化の兆しが見えないことが示された。

FRBがインフレ制御に苦慮する場面は長引いており、政策対応力への疑念が再び高まって長期金利が上昇するなど、債券市場が再び不安定化する余地は十分に残っている。また、最近は下落が続いている国際商品市況についても、供給懸念が完全に払拭されたとは言いがたく、再び乱高下する場面もあるのではないか。