フランスの議会選挙は、極左勢力と極右勢力が伸びたことで、従来の勢力、とりわけ政権党の大統領の多数派連合が大幅に減少するという結果となった。極左勢力とは、ジャン=リュック・メランション(70)を中心とした左派連合のニュープ(NUPES、新人民連合環境・社会)で、極右勢力はマリーヌ・ル・ペンを中心とした国民連合だ。

マクロンの政党「共和国前進」は完全に溶解し、「ルネサンス」と一時名前を変えたが、いつのまにか他の政党をかき集めてアンサンブル(Ensemble)いう名前となり、第1党(フランス連合)を確保したが、議会の過半数、すなわちマジョリティーを得ることはできなかった。なんとか女性首相のボルヌを擁して首相職を確保し、首相と大統領が対立する政党という対立は避けられているが、議会の運営は極めて困難な状況にある。

2017年の議会選挙では、マクロンの政党が社会党や共和党から議員を集め、左派でも右派でもない、新しい政党として「共和国前進」をつくり、それが圧倒的な議員数を確保してマクロン政権を支えることができた。しかし今回は事実上、マクロン大統領は国民の多くの支持を受けていないという状況だ。

マクロン政権での経済格差が変化の根底に

マクロンの大統領就任時と大きく変わったことは、社会状況の大きな変化である。2020年からコロナ禍によるロックダウン、そして2022年2月のウクライナ戦争による経済的混乱である。すでに2018年から、マクロンの新自由主義政策に反対していた人々は「イエロー・ジャケット運動」を毎週展開していた。それにコロナ禍の政府の規制に対する反対運動が起き、民衆の怒りは爆発していた。

そこにウクライナでの戦争が起きてロシアとの関係が悪化し、EUによる制裁のブーメラン現象として石油価格と小麦価格の上昇が起こり、それが国内にインフレを引き起こし、人々は生活の不安に襲われたのである。

問題は、すでに起こっていたマクロン政権の下での経済格差に原因があったことだ。年金受給年齢の引き下げ、最低賃金の引き上げなど身近な経済問題に人々の関心が向かったのは当然のことであった。

大統領選では、極左と極右の躍進を恐れた旧右派と左派が結集して、マクロンをなんとか当選させたが、議会選挙では、新たな動きが起こった。それが、大統領選の1次投票で3位になり、決戦投票の候補にならなかったメランションによる、従来の左派ではない緑の党、社会党左派、共産党、「不服従のフランス」などの党派の結集であった。これがNUPESである。