メランションの政治歴はきわめて長い。10年以上前からパリの北にあるヴィレット近くのスターリングラード広場で民衆の前に演説を繰り返してきたメランションは、このパリと郊外との接点の場所で貧しき者、虐げられた者に、豊かな者のパリの奪還を訴えてきた。

彼はリセ(高校)の時代からマルクス主義、トロツキズムに関心をもち、ブザンソン大学の学生組織で活躍した。やがて社会党に入り、パリ郊外のマシーから出馬して上院議員となり、ミッテラン政権(1981〜1995年)で次第に頭角を現す。オランド前大統領や環境相などを務めたセゴレーヌ・ロワイヤルは同世代の仲間だ。

同世代の仲間が権力に近づき、次第に経済的利権を争い、共和主義者と変わらない政策をとるなかで、メランションは社会党左派に留まった。とりわけ、ラテンアメリカ諸国との関係は深い。先日コロンビア大統領となったグスタボ・ペトロも友人で、大統領推薦者の中に彼も名前を連ねている。国会選挙で大躍進した後の2022年7月に訪問したのも、メキシコやコロンビア、ホンジュラスであった。

主張は「貧しい市民の革命運動」

ラテンアメリカではベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領をはじめ、あちこちで左派政権が誕生し、アメリカに対抗する勢力を築きつつある。2022年6月に誕生したコロンビアのペドロ大統領も17歳で革命ゲリラの参加し、やがて首都ボゴタの市長、そして大統領になった人物だが、チャベスなどとも親しかった。

メランションは、貧しい市民の革命運動を主張している。新自由主義の競争で敗れた弱者を救うというのだ。彼を支えたのは、ミッテラン以外ではリオネル・ジョスパン元首相(在任期間1997〜2002年)である。ジョスパンはトロツキストで、ジャック・シラク元大統領と大統領選を戦った人物だ。

ヨーロッパでは従来の左派政権や右派政権、そして中道政権が国民の支持を失いつつある中、力を伸ばしているのは極右と極左である。極右と極左といえば過激な集団であり、いかにも危なそうな集団という印象があるが、実際にはこれまでの左派と右派が保守化したことから判断すれば、本来の左派であり、右派だともいえる。支持基盤は、ともに貧しい民衆だ。決定的な差異は、国際的であるか(極左)、国内的であるか(極右)の違いである。