国内の大手腕時計メーカーといえば、セイコー、シチズン、カシオの3社だ。しかし、国内出荷数量でこの3社に匹敵する、知られざる未上場企業がある。東京・元浅草に本社を構えるサン・フレイムだ。

日本時計協会の統計によれば、大手3社グループの2021年の国内向け時計出荷は555万個(セイコーエプソン、シチズン系のリズムを含む)。各社は国内出荷数量を公表していないが、2022年3月期の時計事業の売上高は、カシオ1522億円、シチズン1310億円、セイコー1257億円とおおよそ横並び。各社が得意とする価格帯は違うものの555万個を単純に3で割ると、1社あたり185万個となる。

一方、サン・フレイムの2022年1月期の1年間の国内出荷は203万個。大手3社と肩を並べる、あるいはそれを凌駕する存在となっているのだ。

主力は低価格の腕時計

とはいえ、時計メーカーとしてサン・フレイムを認識している人は少ないだろう。セイコーブティックのような社名を冠した系列小売店はなく、主にホームセンター、家電量販店、生活雑貨店などで売られている。

例えば、家電量販店ヨドバシカメラ新宿西口本店の時計売り場。7月下旬、店先のワゴンには格安時計がずらりと並んでいたが、そのうち3分の2がサン・フレイム製だった。売れ筋は見やすくて衝撃に強いデジタル防水時計。農業や建設業など野外で作業をする人たちの購入が多い。

2000円前後と低価格なのに見やすくて衝撃に強いサン・フレイムのデジタル防水時計(記者撮影)

雑貨店で売られている低価格のファッションウォッチや、子ども向けキャラクターウォッチの販売量も多い。相手先ブランドで販売するOEM受託も行い、テーマパークのオリジナル時計などの製造も請け負う。

1個1000〜5000円の低価格時計が主力のため年間売上高は20億円程度と大手3社には遠く及ばない。大手も「サン・フレイムがライバルという認識はない」(国内大手時計メーカー関係者)。大手が重視するのはブランドや世界観だ。サン・フレイムは、大手とは別の需要に応えることで、独自の存在感を放っている。

サン・フレイムの保野利臣社長は「商品の先走りだ」と話す。社名よりも時計自体の機能やデザインで選ばれ、使用されている、という自負の現れだろう。