しかし、ここで注意しなくてはいけないのが、インフレとデフレの判定は実際にはもっと複雑な分析を要するということだ。

BIS(国際決済銀行)やIMF(国際通貨基金)は過去にデフレの定義を「少なくとも2年間の継続的な物価下落」としたことがあったが、内閣府の過去の判断をみてみると、「需給ギャップ」や「ユニットレーバーコスト」といったマクロ的な物価変動要因と、「消費者物価指数」や「GDPデフレータ」などの物価の基調や背景を総合的に考慮している。

消費者物価指数の推移だけをみればインフレだが、内閣府が発表している需給ギャップの最新データでは21兆円の需要不足となっており、この観点ではデフレ経済ともいえる。

物価上昇の原因は?

経済の専門家の間で「インフレかデフレか」という話で盛り上がることは多々あるが、そのようなマニアックな話は多くの国民にとってはどうでもいい話で、生活を通じて得る体感として明らかに物価は上昇しており、給料が上昇しない以上は家計がどんどん逼迫されており、政府による家計支援策が求められる。

このように物価上昇によって国民の不満が高まると、犯人探しが始まる。今回の物価上昇については原油をはじめとするエネルギー価格の上昇が最大の原因であることは、先ほどの消費者物価指数のデータを見れば明らかである。「生鮮食品を除く総合」の伸び率が前年同月比+2.4%なのに対して、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の伸び率は同+1.0%となっている。

しかし、どうやらいまのところ物価上昇の犯人としてやり玉に挙がっているのは「円安」のようだ。たしかに、自国通貨の為替レートが安くなれば、海外からの輸入品価格は上昇する。日本のように食料もエネルギーも輸入に頼っている国にとってはその影響はより色濃く反映される。

原因がわかったのであれば、それを解決すればいい。それでは、どのようにすれば円安は抑えられるのか。1つのヒントは下図から明らかである。難しい統計処理などせずとも、日米金利差とドル円相場の推移には高い相関関係があることがわかるだろう。

それであれば、インフレ対策として速いペースで金利を引き上げているアメリカにあわせて、日本も金融緩和をやめて利上げをすべきという意見が出てくるのだ。実際に一部の政治家や、大企業の経営陣がそのような発言をしたことが報道されている。