トヨタは2022年3月期の世界生産台数として過去最高の930万台を期初に掲げたが、下方修正を3回も繰り返し、最終的に857万台(前期比5%増)で着地した。足元では世界で約200万台まで受注残が積み上がっている。各地域の営業部門は販売会社から新車の供給増を求められ、挽回生産へのプレッシャーは強い。

そこで21年10月ごろ浮上したのが、1200万台という23年3月期の世界生産計画だ。トヨタの従来の過去最高生産台数の908万台と比べると未曾有の大増産。そこから「半導体不足や仕入れ先の状況もあり、1100万台に引き下げ」(トヨタ幹部)て、22年初めに仕入れ先に提示した。

度重なる減産で信頼関係には傷

この数字が伝わると、サプライヤーからは「到底到達できる水準ではない」と、戸惑いの声が相次いだ。度重なる減産で、トヨタとサプライヤーの信頼関係には傷がついている。「トヨタの出す計画から割り引いて自社の生産計画を作らないと損失が出てしまう」と、サプライヤーの幹部は話した。

こうした状況にトヨタも対応を迫られた。2022年3月の労使交渉では組合が度重なる急減産で疲弊するサプライヤーの窮状を報告。これを受け、豊田章男社長は「要員や設備などの能力を超えた生産計画は異常」と指摘し、「足元の生産計画を現実に即したものに見直す」ことを発表した。その結果、5月に「身の丈」として示した今期の世界生産計画が970万台だ。

4月からは生産計画の提示方法も変えた。毎月20日ごろに翌月の生産計画を確定し通達していたのに加え、月初めに翌月の大まかな計画も示すことにした。2カ月後、3カ月後の生産計画についても、従来計画に対しどの程度リスクがあるかを織り込んで伝える。