20代のころはまだ少なかった年収が、スキルアップや昇進などを通じて、50代まで右肩上がりに増加してきたという方も、決して少なくないはずです。しかし60代、定年退職を迎えるまでさらに増えていくかといえば、期待薄なのが現状です。それどころか、なかには年収が激減してしまう人もいるのです。その理由は、「役職定年」にあります。

役職定年とは、一定の年齢に達した社員が課長や部長といった管理職から外れる制度のことです。会社によって制度はさまざまですが、55歳、あるいは57歳といった年齢に達すると管理職ではなくなり、非管理職社員に戻るのです。

会社としては人件費の削減や組織の新陳代謝、活性化につながるメリットがあるということで、大企業を中心に導入が進んでいます。しかし、役職定年を迎えた社員はたまったものではありません。努力して築いてきた地位が年齢を理由になくなるだけでなく、年収も下がるからです。

役職定年で年収が半分になる人も

ダイヤ高齢社会研究財団の「50代・60代の働き方に関する調査報告書」によると、実際に役職定年を経験した方のうち、役職定年後の年収が減った割合は実に9割以上。年収が半分未満になった人も約4割いるのです。

役職定年で年収が少なくなると、将来受け取れる厚生年金の金額も減ってしまいます。たとえば、20歳から60歳まで40年間ずっと年収500万円だった人と、同じく55歳まで年収500万円だったものの、55歳から60歳までの5年間は年収が350万円になった人では、厚生年金の年額に4.1万円の差が生まれる計算です。

もしくは、55歳から60歳までの5年間は年収が250万円になった場合は、厚生年金の金額に6.8万円の差が。これが仮に30年続いたら、受け取れる金額は204万円も少なくなってしまいます。