安倍派からの起用は留任も含め4人だったが、経済安保相の高市早苗、厚労相の加藤勝信両氏は「もともと故安倍氏の側近」として知られるだけに、「前内閣より手厚い配置」(岸田派幹部)ともみえる。

ただ、留任した松野氏は故安倍氏と距離があるとされ、「安倍派内の親安倍と反安倍を組み合わせた巧妙な人事」(同)でもある。

また、茂木派の加藤厚労相と麻生派の河野太郎デジタル相も、両派の派内事情を踏まえた起用とみられている。「茂木氏のライバルで本籍・安倍派」(茂木派幹部)といわれる加藤氏と、「菅前首相の最側近」(麻生派幹部)として知られる河野氏だけに、党内では「入閣させることで、派閥内での動きを封じる狙いがある」(自民長老)との見方も広がる。

防衛相に無派閥の浜田靖一氏が起用された事情

さらに、年末に向けた政権の重要課題の1つとなる防衛費増強の担当閣僚に無派閥の浜田靖一氏を起用したことにも、岸田首相の意図がにじむ。当初は「今回総務相になった寺田稔氏の起用が有力」(岸田派幹部)だったが、「財務省出身の寺田氏では党内保守派が反発すると判断し、有力な防衛族の浜田氏起用でバランスを取った」(同)とされる。

他方、与党・公明党の斉藤鉄夫国土交通相の留任も自民党内に波紋を広げた。9月の公明党人事で退任が予定されていた山口那津男同党代表の続投説が強まる中、山口氏が要求したのが斉藤氏の留任だった。

自民党内では「有力な利権ポストを取り戻せ」(茂木派幹部)との声が多かっただけに、「岸田首相と山口氏の間で何らかの裏取引があったのでは」(同)との臆測も飛び交う。