モデルナによれば、同社が開発・承認申請中のBA.1ワクチン(2価)では、4回目接種の前後で、BA.4およびBA.5に対する中和抗体価は平均6.3倍(5.7〜6.9倍)となった。このワクチンには、従来ワクチンの成分25μgとBA.1対応成分25μgが含まれる。

ファイザーも、同社のBA.1ワクチンについて、「BA.4およびBA.5に対しても中和能力が示された」とした。ただし、「BA.1への効果より低い」という。なお、同社のBA.1ワクチン(2価、BA.1対応成分15μg)の接種前後で、BA.1に対する中和抗体価は9.1倍となったという。

BA.1ワクチンであっても、追加接種を受けないより受けたほうがBA.5への防御力が高まるのは間違いなさそうだ。

では、今まさに従来ワクチンの4回目接種を目前に控えた人はどうすべきか。あえて10月中旬以降まで先延ばしにして、BA.5ワクチンを待つ、という考えもある。

従来ワクチン「4回目接種」は受けずに待つべき?

もちろん4回目接種はもともと、感染を避ける必要性の高い人に対象が限られている。高齢者や免疫不全者など、重症化リスクが高くワクチンの効果が得られにくい人や、彼らに接する医師や介護職の人だ。

だから「待つ」という選択肢は、もとより非常に採りにくい。

しかも、BA.1ワクチン(2価)を従来ワクチンと比べたとき、BA.5への効果は従来ワクチンとほとんど差がない可能性がある。(7月22日付厚生労働省資料より、BA.1への効果の差は1.75〜1.97倍であり、BA.5への効果はそれより下がる)

その程度の差なら、「10月中旬以降を待たずに4回目を打つ」のが現実的な判断だろう。待っていても、接種の順番が回ってくるのは12月や年明けになってしまう可能性も否めない。

1つだけ気になるのは、効果の持続時間だ。

BA.1が優勢だった時期のデータを使ったイスラエルの大規模研究では、4回目接種から3週間は、3回接種よりも高い感染予防効果(平均65.1%)・重症化予防効果(平均77.5%)が見られた。以降、感染予防効果は急降下して接種後10週間で22.0%となったが、同時点で重症化予防効果は86.5%を維持していた。

なお、シンガポールの大規模研究では、mRNAワクチン(従来ワクチン)の3回目接種から5〜6カ月後に感染予防効果は15%以下に低下したが、重症化予防効果は平均87.4%を保っていた。追加接種によって、少なくとも半年程度は高い重症化予防効果を期待できると見ていい。

以上から、今4回目接種を受けた場合、感染予防効果については冬まで持たせるのは難しそうだ。だが、高齢者やハイリスクの人の重症化予防には、今4回目接種を受けて問題ないだろう。