2022年9月2日、前身となる「目黒蒲田電鉄」の創業から100周年を迎える東急グループ。東急電鉄は2023年3月開業予定の「東急新横浜線」(相鉄・東急直通線)や東横線への有料着席サービス導入発表などが注目を集める一方、在宅勤務の浸透で定期客の減少率が大手私鉄トップクラスであるほか、来春に運賃値上げを実施するなど、コロナ禍の影響によるさまざまな課題も抱えている。

7月に就任した福田誠一社長に、この数年で大きく変化した鉄道の現状や新線への期待、今後の課題などについて聞いた。

運賃改定「変動制」は考えている?

――コロナ禍も長期化し、テレワークの浸透などで以前は日本有数の混雑路線だった東急田園都市線も混雑率112%(2021年度)まで低下しています。現在の鉄道の利用状況と今後の見通しは。

この第1四半期の輸送状況は、行動制限がなかったことでだいぶ戻りつつあったとはいえ、コロナ前と比較すると定期客は2割5分程度の減少、定期外が8%程度のマイナスだった。混雑については、以前は最混雑1時間の中にピークとなる時間帯があったが、今はほぼフラットに変わっている。例えば混雑率110%くらいであれば、それが1時間ずっと続くような感じだ。混んでいるようには見えるものの、輸送人員としてはそれほど戻っていない。この先どこまで戻るのかなかなか見通せない。

東急社長の略歴 福田誠一(ふくた せいいち)/1964年生まれ。1986年東京大学工学部卒業後、東京急行電鉄(現東急)入社。同社経営企画部統括部長や東急電鉄鉄道事業本部副事業本部長、交通インフラ事業部長などを経て、2022年7月から現職(撮影:尾形文繁)

――現在の想定としてはどの程度まで利用回復すると見ていますか。

1つの目安として、運賃改定の際の申請では、定期外はほぼコロナ前と同レベル、定期が23%のマイナスで、全体では86%まで戻ると想定している。現状はそこに近づきつつはあるものの、歩みは鈍いなと感じている。

――2023年3月に運賃改定を実施予定です。値上げのほかに、ダイナミックプライシング(時間帯に応じた運賃)の導入などは検討していますか。

原油高の影響で動力費も相当上がっており、これがボディブローのように効いている。運賃改定には動力費の上昇は織り込んでいないので、これを吸収しながらやっていかなくてはいけない。ダイナミックプライシングは、選択肢の1つとして考えていくことはあるかもしれないが、具体的には検討していない。