イギリスは世界最大の海運国家として海運をコントロールするとともに、世界の電信の大半を敷設した。世界の多くの商業情報はイギリス製の電信を伝って流れた。イギリスは世界の情報の中心となったばかりでなく、送金をはじめとする、さまざまな経済的利益をえることができた。世界の貿易額が増えれば増えるほど、送金はロンドンで決済されることになった。海運と電信により、イギリスは、世界経済のすべての活動を自国の利益にできるシステムを構築したのである。手数料という形態で、イギリスには自動的に利益がもたらされることになった。

そのためイギリスは、たとえ工業生産では世界第1位の国ではなくなったとしても、何も困ることはなく、むしろ、世界の他地域の経済成長が、イギリスの富を増大させることにつながったというのが現実であった。イギリスは、コミッション・キャピタリズムの国となり、その影響は、現在も強く残っている。大英帝国とは、金融の帝国であった。

OECD租税委員会の調査によれば、世界のタックスヘイブンリストの35地域のうち、22がイギリスに関係している。ここからも、タックスヘイブンと大英帝国には、密接なかかわりがあったことがわかる。

覇権は移行するのか

イギリスの次に覇権国家になったのは、第2次世界大戦後のアメリカであった。現代社会は、大きく見れば、アングロサクソンの2国によって構築されてきたと言ってよい。現在のアメリカの経済力は以前と比較するとかなり落ちているが、それでもアメリカが世界最大の経済大国であることは事実である。今後、覇権国はどのように変わっていくのだろうか。

ソ連が消滅した1991年に、冷戦は消滅した。しかし、現在では新冷戦とでもいうべき状況が生じている。アメリカを中心とする自由主義陣営と、中国とロシアという独裁国家(この対比を好まない人もいるだろうが)である。